雪梅図
S字状に曲がり、白雪の積もる梅樹。雪は背景に淡墨を刷いた塗り残しで表しています。月夜の光を雪が反射する美しさを、光沢のある絖に描き出す趣向は秀逸です。特徴的な梅樹の曲線は優美な枝振りを表現するとともに、画面中央に落款、印章を入れるためでもありました。中央の広い余白に落款、印章を堂々と入れることで均整のとれた構図になり、長崎出身の鶴亭が描いたことを強く主張しています。右上の積雪した枝には、林和靖が詠んだ梅の名句「暗香浮動月黄昏」にちなむ遊印(白文長方印)を捺しています。絵、落款、印章、材質もあわせた総合的な作品として鑑賞すれば、鶴亭が込めた憧れの「暗香」を感じ取れることでしょう。その趣向を理解、共感してくれる人、友がいたことをうかがわせます。唐の香りを込めた、近世墨梅図の名品。
【長崎ゆかりの近世絵画】
【長崎ゆかりの近世絵画】
名称 | 雪梅図 せつばいず |
作者名 | 鶴亭筆 かくてい (1722-1785) |
時代 | 江戸時代、宝暦5年/1755年 |
材質 | 絖本墨画 |
サイズ | 120.6×49.2cm |
員数 | 1幅 |
その他の情報 | 落款:「乙亥春三月/﨑江鶴亭博」 印章:「疏簾荷香」(白文方印)「南窗主人」(朱文方印02)「暗香浮動月黄昏」(遊印、白文長方印) 来歴:2002神戸市立博物館 参考文献: ・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』図録 2019 ・神戸市立博物館・長崎歴史文化博物館特別展『我が名は鶴亭』図録 2016 ・神戸市立博物館企画展『若芝と鶴亭―黄檗宗の画家たち』図録 2011 |
指定区分 | |
分野 | 日本画 |