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研究紀要

研究紀要:第3号(1986年)

執筆者 論題 要旨
森田稔 束播系中世須恵器生産の成立と展開 神出古窯祉群に中心に 本稿は,神出古窯址群を中心に播磨一特に東播磨における須恵器生産の変遷を,「中世」的生産の成立と展開という側面から把握しようとする試み。
神出古窯址群をはじめとする東播系諸窯は,その成立をはじめ第7・8期は多かれ少なかれ受領又は国衛機構の影響を受けて発展したが,魚住泊の整備着手,国司の生産への介入の弱化,承久の乱後の新補地頭の補任などが直接・間接作用し,須恵器生産工人集団の再編成が実施され,この段階をもって初めて商品流通経済を基礎として広域流通体制を確立したことを明らかにしている。
中村善則 播磨大歳山遺跡1 -縄文土器- 直良信夫によって紹介された大歳山遺跡は、その後長く調査は行われなかったが、1961-1972年にかけて4回の発掘調査が実施された。本稿はこれらの調査で出土した1500片あまりの縄文土器について整理報告したもの。縄文土器は層位による分類は不可能であり、口縁部の資料を中心に取り上げ、条痕が施された第1類から、第8類の突帯文土器まで8類に分類できた。そのうち最も多量にあった第4類が、口縁部を肥厚させ、密な刻み目を施した特殊突帯文を付加する大歳山土器である。特に、第4類については、口縁部、底部、特殊突帯文についてさらに詳細に検討を行った。
越智裕二郎 新収南蛮屏風について 本稿では新しく本館に収蔵された南蛮屏風を紹介し,本資料が分類される第3類といわれる南蛮屏風を概観するとともに,中国故事人物図ひいては中国風俗図と第3類の関係について考察している。