大震災 / 展示設備の状況
2階 南蛮美術館室
神戸市立博物館の展示設備は、古代から現代までの神戸の歴史を紹介する「常設展示室」と、期間限定の特別展・企画展示を行う「特別展示室1・2」「南蛮美術館室」「ギャラリー」からなる。
木製・紙製の資料を多く扱う当館の性質上、展示は強固なガラスケースを用いる場合が多い。今回の震災ではこのガラスケースがらみの被害が多発することになった。あるケースでは天井の照明を覆うためのルーバーが落下し、またあるものはそれ自体が転倒し、資料を損壊した。ただ、固定型のケースでの被害は比較的すくなく抑えられた。
※解説文末尾の6桁の数字は撮影日時。
南蛮美術館室の状況
この展示室では企画展「南蛮美術名品展」が行われていた。写真は、未だに資料が撤去されていなかった時期のもの。右が倒壊した可動ケース。950119
南蛮美術館室/可動ケースの倒壊
南蛮美術館東壁に西に向かって床(合成ゴム長尺シート貼り)の上に2台並んで設置されていた可動ケース(H310×W520×D105cm、重さ1300kg)のうち、南端の1台が転倒し、のぞきケースの上に倒れこんだ。前面のガラスは全壊。この中に展示されていた南蛮美術の「師父二童子図」などの絵画作品が散乱したガラスによってわずかに破損した。転倒した可動ケースの下敷きとなった覗きケースにはキリシタン遺物のロザリオ・メダイなどが展示されていたが、幸い損傷は免れた。950121
南蛮美術館室/ケースの移動状況
南蛮美術名品展で工芸品を展示していた可動4面ガラスケース。資料に被害なし。床の白い跡がアジャスターの移動を示す。950220
南蛮美術館室/ケースの移動状況
可動ケースのほとんどが地震で北西-南東方向に最大約50cm移動。ケース内に展示していた工芸品はケースに震動を吸収されるかたちとなり、被害がなかった。写真は資料撤去後。950226