びいどろ・ぎやまん・ガラス
手彫り薩摩切子 2021年7月27日(火曜) ~ 2021年8月29日(日曜)
現在も伝統工芸品として著名な薩摩切子。薩摩藩のガラス製造は、第10代薩摩藩主島津斉興(1791-1859)の時代まで遡ります。嘉永4年(1851)に11代藩主となる島津斉彬(1809-1858)は、殖産興業にも力を注ぎ、薩摩藩のガラス製造は最盛期を迎えます。しかし、斉彬の急逝、薩英戦争による硝子製造所の破壊などを理由に、その製造は縮小されていきました。
無色、あるいは厚く被せられた色ガラスを彩る薩摩切子の意匠は、西洋製カットガラスを参考にしていたことが指摘されています。当時の切子は、グラインダー状の工具(器械彫り)ではなく、水溶き金剛砂と棒状工具を用いて表面を研磨して加飾していたことが特徴です。近年、加飾方法を区別して、当時の薩摩切子にはこの加飾方法を区別するために、「手彫り」と付しています。
本展では、江戸時代のガラス工芸品の白眉ともいえる手彫り薩摩切子の作例を中心にご紹介します。手彫りならではの温もりのある優美な輝き、厚い色被せガラスと無色ガラスとの境目に生じるぼかし…魅力に満ちた手彫り薩摩切子をご堪能いただければ幸いです。
-
手彫り薩摩切子青緑色被せガラス蓋物
-
手彫り薩摩切子紫色被せ脚付きガラス杯
-
手彫り切子銅赤色被せガラス鉢
展示作品リスト
- 手彫り薩摩切子青緑色被せガラス蓋物 江戸時代(1851-58) 1合 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 手彫り薩摩切子藍色脚付きガラス杯 江戸時代(1851-58) 1口 当館蔵
- 手彫り薩摩切子紫色被せ脚付きガラス杯 江戸時代(1851-58) 1口 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 手彫り薩摩切子銅赤色被せガラス鉢 江戸時代(1851-58) 1口 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 手彫り薩摩切子銅赤色被せガラス二段重 江戸時代(1851-58) 1式3点 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 手彫り薩摩切子羊頭形ガラス筆洗 江戸時代(1851-58) 1点 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 手彫り切子紫色被せガラス墨台 江戸時代後期~明治時代前期(1844-87) 1点 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 手彫り切子藍色被せ栓付ガラス瓶 江戸時代後期~明治時代前期(1844-87) 1対2点 当館蔵
- 手彫り切子藍色被せ蓋付ガラス小壺 江戸時代後期~明治時代前期(1844-87) 1合 当館蔵
- 手彫り切子銅赤色被せガラス鉢 宮垣秀次郎カ 明治14年(1881)頃 1口 当館蔵
- 手彫り切子・グラヴュール銅赤色被せガラス鉢 宮垣秀次郎カ 明治14年(1881)頃 1口 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)