古地図
温泉と絵図 2024年6月22日(土曜) ~ 2024年8月25日(日曜)
日本では、身体の治癒を目的とした入浴―湯治が古くからおこなわれてきました。『日本書紀』には、舒明天皇や孝徳天皇の有馬温泉行幸に関する記述が見られます。また、戦国武将たちは、戦いの傷を癒すために温泉を利用していたことが伝わっています。ただし、湯治は天皇や公家、武士など、一部の階級の人々に限られた文化でした。
湯治が一般庶民にまで広まるのは、江戸時代のことです。交通網の整備などによって旅の環境が整い、多くの人々が湯治に出かけるようになりました。それに伴って、地図にも温泉地が刻まれるようになります。また、各地の温泉地では、湯治客の土産物として温泉地の絵図が販売されました。
温泉地を描いた絵図類を通じて、江戸時代から明治時代にかけての入浴文化の一端に触れていただければ幸いです。
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野州日光山温泉之図
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摂津国有馬勝景図(部分)
展示作品リスト
- 諸国一目道中記温泉道しるべ 江戸時代、19世紀 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 豊後国大絵図 天保13年(1842) 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 甲斐国絵図 慶応4年(1868) 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 相模国全図 江戸時代、19世紀 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 但馬国大絵図 天明7年(1787) 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 上州草津温泉図 江戸時代、19世紀 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 上州草津温泉之図 江戸時代、19世紀 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 摂津国有馬勝景図 宝暦10年(1760) 当館蔵
- 野州日光山温泉之図 明治時代、19世紀 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 箱根七湯之図 弘化4年(1847) 当館蔵(南波松太郎コレクション)
- 伊豆国加茂郡熱海温泉実図 明治12年(1879) 当館蔵(南波松太郎コレクション)