美術
描かれた動物たち 2020年7月4日(土曜) ~ 2020年8月10日(月曜)
「鎖国」下の江戸時代、中国・オランダとの交易でもたらされた文化は、日本美術に大きな影響を及ぼしました。なかでも、中国人画家・沈南蘋(1683-?)がもたらした花鳥画(南蘋風花鳥画)は、花や鳥、動物など吉祥性に富むモチーフを写実的に描く特色があり、中国文化への憧憬を抱く人々を中心に大流行しました。
また、隠元隆琦禅師(1592-1673)の来日を契機として広く伝播した黄檗宗は、建築・彫刻・絵画・書・工芸などの分野で明清の美術を日本にもたらしました。濃密な色彩、奇矯な造形といった特色をもつ黄檗絵画のなかにも、動物を描いた作品があります。
今回の展示では、南蘋風花鳥画と黄檗絵画から、動物を描いた作品を紹介します。猫、虎、犬、鳥、鹿など、私たちも一度は見たことのある動物を江戸時代の画家たちはどのように、なぜ描いたのか。動物の表情や姿、込められた意味や願いに注目してください。
また、近年新たに収蔵した鶴洲筆「梅に鴛鴦図」を初公開します。鶴亭の弟子・鶴洲の代表作ともいえる作品をぜひお楽しみください。
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真村蘆江「菊に猫図」
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鶴洲「梅に鴛鴦図」
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鶴洲「梅に鴛鴦図」(部分)
展示作品リスト
- 真村蘆江筆 菊に猫図 江戸時代、18世紀後期 絹本著色 1幅 当館蔵
- 千葉龍卜筆 猫に牡丹図 江戸時代、18世紀後期 絹本著色 3幅 当館蔵
- 蘭渓若芝筆 豊干騎虎図 延宝5年(1677) 絹本著色 1幅 当館蔵
- 董九如筆 芥子に洋犬図 江戸時代、18世紀後期~19世紀初期 絹本著色 1幅 当館蔵
- 鶴洲筆 梅に鴛鴦図 天明2年(1782) 絹本著色 1幅 当館蔵
- 広渡湖秀筆 桃に鹿図・巌浪双鶴図 江戸時代、18世紀後期~19世紀初期 紙本著色 2幅 当館蔵