びいどろ・ぎやまん・ガラス
輸入ぎやまん 2020年10月3日(土曜) ~ 2020年11月15日(日曜)
海外との交流が限られていた江戸時代ですが、長崎貿易を通じてヨーロッパ製のガラス器が輸入されていました。「ぎやまん」とは、ポルトガル語でダイヤモンドを意味する「Diamante」を語源とする言葉です。当時の日本では、ヨーロッパ製のカットガラスを意味していました。19世紀になると、日本でも製造されるカットガラス(切子)をさす言葉としても用いられていくようになります。この展示では日本に輸入されていたヨーロッパ製のガラス器をさして、「輸入ぎやまん」という名称を用いています。 当時の人々にとって、珍しく、貴重だった輸入ぎやまん。なかには、収納箱が設(しつら)えられ、手に入れた日付や場所、その経緯などを記した作例も残っています。書付は、輸入ぎやまんを手にしたことの嬉しさや感動といった旧蔵者の思いを、今に伝えているのかもしれません。 このたびの展示では、コレクションの中から輸入ぎやまんの名品を選りすぐりました。日本の切子にも影響を与えた輸入ぎやまん。その洗練された輝きとともに、収納箱の書付からみえる、当時の人々の思いを想像しながらお楽しみいただければ幸いです。
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「グラヴュール紋章文蓋付ガラス大杯(ポカール)」
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「カットガラス平鉢」
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「金赤カット脚付ガラス杯」
展示作品リスト
- グラヴュール紋章文蓋付ガラス大杯(ポカール) イギリスあるいはオランダ製 1合 1760年頃 当館蔵
- 吹きガラス仙盞瓶 ネーデルラント製 1合 16世紀後半 当館蔵
- ダイヤモンドポイント彫りライオン紋章ビーカー ネーデルラント製 1口 17世紀後半 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- 緑色角形ガラス瓶 北部ドイツ製 1本 宝永元年(1704)箱書き 当館蔵
- 脚付ガラス杯 イギリスあるいはオランダ製 1口 明和4年(1767)箱書き 当館蔵(びいどろ史料庫コレクション)
- カットガラス平鉢 イギリス製 1口 天保元年(1830)箱書き 当館蔵
- 金彩葡萄文脚付ガラス杯 イギリス製 1口 天保3年(1832)箱書き 当館蔵
- 金赤色カット脚付ガラス杯 フランス製 1口 1850年頃 当館蔵(池長孟コレクション)
- 金彩カット藍色ガラス鉢 イギリス製 1口 18世紀後期-19世紀初期 当館蔵